7.モスクワの学生生活について
モスクワ音楽院は、モスクワの中心クレムリンから歩いて12~3分の場所(ボリシャヤ・ニキーツカヤ通り)にあります。大都市の中心に位置する割にはとても静かな環境です。
- 校舎とコンサートホールなど -
モスクワ音楽院 校舎遠景
正面の木の手前にチャイコフスキーの銅像が設置されています。(↓)
訪れる人の撮影ポイントになっています。
1800人収容の大ホール 正面エントランス
毎週のように著名な演奏家のコンサートが催されています。
大ホールの左手前にあるオープンカフェ
暖かい季節には、花や景色を眺めながらお茶を楽しむこともできます。
モスクワ音楽院には、大小4つのコンサートホールがあり、著名な音楽家のコンサートから、学生のクラスコンサートや大学院生のソロコンサートなど、毎日のように演奏会が開かれています。
開演直前に空席があれば、モスクワ音楽院の学生は学生証を提示すれば、無料で入場することができます。
満員の聴衆が入った大ホール(開演前)
この日は、アレクサンドル・クニャーゼフ(チェロ)とニコライ・ルガンスキー(ピアノ)のコンサートがありました。(↑)
二人はともに、過去のチャイコフスキー国際コンクールの入賞者です。
クリスマスの装いのラフマニノフ・ホール(250人収容)
ミャスコフスキーホール(約70人収容)
学生のクラスコンサートやソロコンサートなどが催されます。
- 学生食堂の定番ランチメニュー -
次に、学生食堂の定番 ランチメニューをご紹介しましょう。
コンプレクス(日替わり定食)の一例
コンプレクスは、基本的にスープ、サラダ、主菜、パンの構成。
この日は、キャベツのスープ「シチー」に黒パンがつきました。
ロシア料理の定番、スビョウークラ(赤ビーツ)のサラダです。
学生食堂には、他にも単品メニューや飲み物、ケーキなどもあります。
- 学生寮から音楽院への通学ルートなど -
モスクワ音楽院からの地下鉄の最寄り駅はいくつかあるのですが(前述)、いずれの駅からも徒歩で12~15分ほどかかります。(↓)
モスクワ音楽院と地下鉄の最寄り駅、クレムリンの位置関係(再掲)
一方、学生寮は音楽院から徒歩で40分ほどの場所にあります。地下鉄の最寄り駅(クラスノプレスネンスカヤ)からも徒歩で10分ほどかかるため、地下鉄を利用したとしても音楽院までの所要時間は35分ほどかかることになり、徒歩で通うのとほとんど変わりません。このため、-20℃を下回るような真冬の厳寒の日を除いて、ほとんどの寮生が徒歩で通学しています。
※寮から音楽院までの地下鉄最短ルート
・寮の最寄り駅 ⑤号線のクラスノプレスネンスカヤから入り、連絡通路を徒歩で⑦号線のバリカートナヤに移動して⑦号線の電車に乗車、
・隣のプーシキンスカヤで下車し、連絡通路を徒歩で②号線のトベルスカヤに移動して②号線の電車に乗車、
・隣のチアトラーリナヤで下車し、連絡通路を徒歩で移動して①号線のアホートヌィ・リャトの出口から地上に出て、音楽院まで徒歩で移動するルートが最短です。( ----- ↓)
このルートは、電車に乗っている時間は10分にも満たないのですが、地下を歩く距離が長いため、結局、寮から音楽院まで35分ほどかかることになります。
図中、茶色の⑤号線(環状線:直径5~6km、1周約19.4km)は、12駅全てが他の路線への乗り換え可能駅になっています。
ちなみに、東京都心のJR山手線の1周は、約34.5kmです。
②号線 チアトラーリナヤから ①号線 アホートヌィ・リャトへの連絡通路
この長い連絡通路では、ストリート・ミュージシャンをよく見かけますが、演奏のレベルがとても高くて驚かされます!
ほとんどの駅と連絡通路は早朝5時から深夜1時まで開いています。
※ 2018年10月追記:音楽院前と学生寮近くを通る路線バスが運行開始
学生寮から音楽院への通学に利用できる路線バス
音楽院の隣にある旧シティバンクの出張所(現在は閉鎖)前に停留所があります。
バスの車内の様子
2017年より、モスクワ音楽院が面しているボリシャヤ・ニィーツカヤ通 ⇔ バリカートナヤ通 ⇔ クラスナヤ・プレスニャ通とほぼ直線ルートで結ぶ路線バスが運行を開始しました。最寄りの停留所はそれぞれ、音楽院横のシティバンク出張所の前と、寮の近くの日本食レストラン「いちばんぼし」の近くにあり、所要時間およそ15分で結びます。運行は概ね15~20分間隔、運賃は地下鉄1回乗車分と同額(距離に関係なく1回55ルーブル)ですが、共通ICカード「トロイカカード」を使用すると1回37ルーブルと格安で利用できます(2018年5月)。バスはワンマン運転で、3枚ドアの前乗り前払い、中・後降りで乗降します。
※ 2019年1月追記 : トロイカカード利用時の運賃が1回38ルーブルに値上げされました。(2019年1月)
学生寮周辺の道路(真冬)
② 学生寮の生活環境
真冬のモスクワはきびしい冷え込みに見舞われ、最低気温は-20℃以下まで下がりますが、降雪量はそれほど多くありません。モスクワ市内は地域暖房(シャワーや暖房用のお湯が、熱工場から地中の配管を通じて地域の各建物に供給されるシステム)が行き届いているため、寮の中は真冬でも比較的暖かく過ごすことができます。
キッチン、洗濯室(洗濯機はカード式)、シャワー、トイレは各階にありますが、全て共用です。また、寮の地下にあるピアノの練習室は予め予約して使用する仕組みとなっており、毎朝7時から予約の受付が始まります。
学生寮 エントランスホール
入口横の事務所に守衛さんが24時間常駐しています。
エントランスホール
1F フロア平面図
長い廊下
寮の練習室予約の順番待ち 毎朝7時に予約の受付が始まります。
コンクールや演奏会が近づくと、出演者には練習室が優先的に割り当てられます。
娯楽室
共用キッチン
調理器具はガスコンロです。
学生寮の3人部屋(2段ベッド+シングルベッド)
パソコンや i-Pat などは、部屋にWi-Fi ルーターを設置して使います。
※ 2018年9月追記 : 学生寮の新棟が完成!(再掲)
新棟外観(モスクワ音楽院オフィシャルサイトより引用)
階段ホール(モスクワ音楽院オフィシャルサイトより引用)
廊下と居室の各部屋の扉(モスクワ音楽院オフィシャルサイトより引用)
2人部屋の一例(モスクワ音楽院オフィシャルサイトより引用)
各階の共同キッチン(モスクワ音楽院オフィシャルサイトより引用)
長らく建設中だった学生寮の新棟がこのほど完成し、2018年9月後半から順次、寮生の引っ越しが始まりました。新棟には、(過年度入学の)高学年の学生から入居できるようです。新棟の部屋の様子などは、モスクワ音楽院のオフィシャルサイトに公開されています。寮費は概ね旧棟の2倍程度になるようです。詳しくはこちら(↓)
③ 生活費の仕送り方法
音楽院の隣の建物にシティバンクのATMが設置されおり、留学生には大変便利なのですが、シティバンク日本法人の個人営業部門は、2015年11月をもって、三井住友銀行グループのSMBC信託銀行に譲渡されました。
シティバンクの普通預金口座に円を預金しておくと、モスクワの支店で直接ルーブルで引き出すことができます(手数料は引き出し1回について216円)ので、日本人留学生の多くはシティバンクを生活費の仕送り手段として利用しています。旧シティバンクのシステムは、譲渡先のSMBC信託銀行にそのまま引き継がれました。
シティバンクのATMは、寮から徒歩で4~5分のところにもあります。幸い、営業譲渡後もSMBC信託銀行のキャッシュカードで、これまで同様、シティバンクの海外ネットワークが問題なく利用できるので、生活費の仕送りはこの方法で大丈夫です。
シティバンクの出張所
モスクワ音楽院の隣の建物にあります。(↑) Citibank のロシア語表記は Ситибанк となります。
この出張所にはATMが3台設置されており、画面はロシア語と英語表記を選択できます。一度に引き出せるのは、10,000ルーブルまでなので、それ以上必要な場合は、数回に分けて引き出します。
※ 2019年4月追記:シティバンクの出張所(ATM)が閉鎖
モスクワの長女からの情報によると、モスクワ音楽院の隣にあったシティバンクの出張所が閉鎖され、ATMが使えなくなってしまったそうです。同時に、学生寮の近くに設置されていたATMも撤去されて使えなくなったとのことです。
モスクワ音楽院の学生にとって、とても便利だったシティバンクのATM2カ所が同時に使えなくなり、不便になりましたが、SMBC信託銀行のキャッシュカードは、ロシア最大手のズベルバンクのATMでも使用できるので、生活費はズベルバンクのATMで問題なく引き出すことができるとのことでした。
(その3へ続く・・・・)
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