ロマノフ王家の離宮を探訪
① ペテルゴフ「夏の宮殿」
18世紀の初め、ロマノフ王家4代目の皇帝・ピョートル大帝が、フランスのベルサイユ宮殿を凌ぐ宮殿を目指して建てたとされるペテルゴフ「夏の宮殿」は、ペテルブルクから西へ約30kmのフィンランド湾を見下ろす高台に位置しています。
ペテルブルク市街からペテルゴフへは、ネヴァ川の南岸、エルミタージュ美術館の近くにある船着き場から高速艇に乗り、35分ほどで行くことができます。
ネヴァ川を行き交う観光船
高速艇の船内
ネヴァ川から外洋(フィンランド湾)に出ると波が高く、船はけっこう揺れました。
宮殿の正面には、左右7段と中央3段の階段状にレイアウトされた「大滝」と呼ばれる噴水と、その手前に「ライオンの口を引き裂くサムソン」像の噴水が配置されています。黄金のライオンの口から噴き上がる噴水は、高さ20m近くにまで達する水勢です。
宮殿正面の噴水群「大滝」
「ライオンの口を引き裂くサムソンの噴水」
ライオンの口を引き裂くサムソンの噴水には、3kmも離れた貯水池から導水管が引かれていて、その貯水池は標高が噴水よりも20m高い位置にあるため、これだけの高さまで水を噴き上げることができるのだそうです。
「大滝」を流れ下った水は、中央に引かれた長さ600mの水路を経てフィンランド湾に注ぎます。
宮殿の周囲に広がる庭園内を散策すれば、それぞれに趣向を凝らした大小150もの噴水を楽しむことができます。電気のない時代に設えられたこれらの噴水は、中央の大宮殿を境に南北およそ18メートルに及ぶ敷地の高低差を利用して、水の力(水圧)だけで吹き上がるように設計されているのだそうです。
「ピラミッドの噴水」
正方形に並べられた505本の管は中央に近づくほど細く高水圧となるように配置され、ピラミッド型の噴水を形づくっています。
「太陽の噴水」
太陽から降り注ぐ光線のように噴水塔の中心から放射状に水を噴き出しながら、塔全体が360度ゆっくり回転します。
「お気に入りの噴水」
犬が水を吐きながらカモを追いかけて廻ります。犬とカモの動きは地中に埋め込まれた水車と歯車によるもので、すべて水の力だけで動作しています。
「いたずらの噴水」
白色のベンチの前の石畳に足を踏み入れると、石畳から突然、噴水が吹き出して驚かされます。実はこのいたずらの噴水は、背後の緑色のベンチに腰掛けている男性が操作しているのでした。
「いたずらの噴水」
こちらもいたずらの噴水。白いベンチの前を人が通ると茂みから水が降り注ぎます。油断しているとびしょ濡れになってしまいます!(笑)
来客を驚かせる「いたずらの噴水」もピョートル大帝自身のアイディアなのだそうです。
② エカテリーナ宮殿(再掲)
エカテリーナ宮殿 中央正面
エカテリーナ宮殿は、ペテルブルクから南に25kmほどのところに位置するツァールスコエ・セロー / Царское Село (「皇帝の村」の意) でもっとも人気の観光スポットになっています。
最初の宮殿は1724年、ピョートル大帝の妃、エカテリーナ1世のために建てられました。エカテリーナ1世は、夫であるピョートルの死後、2年間にわたり女帝としてロシア帝国を統治しています。宮殿の呼称は彼女の名にちなんで命名されました。
その後、幾度かにわたり大規模な改築が施され、エカテリーナ2世の時代になって、青い塗装が鮮やかなロシア・バロック様式の現在の姿になったのだそうです。
ペテルブルク市街から宮殿の入口まで、渋滞が無ければタクシーで40分ほどで来ることができます。入り口手前のチケット小屋でエカテリーナ公園の入場チケットを購入して公園内に入ります。
エカテリーナ1世が大切な客をもてなしたとされる隠れ家「エルミタージュ」
公園の大池のほとりの グロット
宮殿中央の階段
大広間(2017年9月4日)
夏場は大勢の見学者で混み合います。(↑)
宮殿内をゆっくり見学するなら、閑散期の冬もお薦めです!(↓)
大広間(2017年2月17日)
ただし、美しい庭園は雪に覆われています。(2017年2月17日)
冬に訪れたエカテリーナ宮殿についてはこちら(↓)
残念ながら有名な「琥珀の間」だけは写真撮影が禁止されていますので、こちらの ”The Tsarskoye Selo” Official Site から見てみてください。(↓)
http://eng.tzar.ru/museums/palaces/c_atherine/amber_room (英語)
サイト下段の写真を操作して、壁面~床や天井など、「琥珀の間」全体を見ることができます。