⑥ ペテルブルクの地下鉄
今回は、ペテルブルグの地下鉄(メトロ)の話題です。
ペテルブルク滞在2日目の早朝、早起きしてホテルの最寄り駅(工科大学駅)から、通勤ラッシュ前の地下鉄に乗ってみました。
1955年に開業したペテルブルクの地下鉄は、2017年現在、5つの路線に67の駅とおよそ1600輌の車輌を擁し、1日の利用客は230万人に上ります。
ネヴァ川などの河川や運河が縦横無尽に走る市街地では、線路と駅は地下深くに敷設されており、地上の駅舎と地下のホームは高速のエスカレーターで結ばれています。最も深い⑤号線のアドミラルチスカヤ駅は地下102mに位置しています。
地下のホームと地上の駅舎を結ぶ長くて高速のエスカレーター
モスクワと同じく、ペテルブルクの地下鉄も運賃は距離に関係なく定額制です。チャージして使用するSUICAと同じような交通カードもありますが、1回毎の乗車券は「ジェトン」と呼ばれるコイン(10円硬貨とほぼ同じ大きさ)が使われています。
2017年5月現在、ジェトン1枚は45ルーブルです。
ペテルブルクの交通カード(チャージして使用します。)
宿泊したホテルの最寄り駅「工科大学」駅から①号線で「ヴァスターニャ広場」駅まで乗ってみました。
「工科大学」駅舎(ペテルブルク・メトロ公式サイトより)
①号線(赤のライン)と②号線(青のライン)の電車が発着します。
「ヴァスターニャ広場」駅舎(ペテルブルク・メトロ公式サイトより)
①号線(赤のライン)と③号線(緑のライン)の電車が発着します。
早朝の工科大学駅 駅舎(右側)
工科大学駅 中央コンコースとホーム
この駅は、東京メトロの「赤坂見附」駅のように2階建て構造となっており、向かって右側のホームに①号線、左側のホームに②号線の電車が発着する乗り換え可能駅になっています。
工科大学駅 ①号線(赤)と②号線(青)の各停車駅の案内板
①号線ウラジーミルスカヤ駅 中央コンコース
ヴァスターニャ広場駅 中央コンコース
①号線ヴァスターニャ広場駅 連絡通路エスカレーター
ヴァスターニャ広場駅 ホームと電車
運行されている車両は、モスクワの地下鉄と同じ型式のようです。
ヴァスターニャ広場駅 改札機
カードのセンサーの手前にジェトン(コイン)の投入口があります。
ヴァスターニャ広場駅 駅舎出口
ヴァスターニャ広場駅周辺 ネフスキー大通り
2月の早朝の時間帯はまだ暗く、人影もまばらです。
ヴァスターニャ広場駅周辺 モスクワ駅舎(モスクワへ向かう鉄道駅)
- ペテルブルクの地下鉄爆破テロ事件について -
2017年4月3日のお昼過ぎ、地下鉄②号線のセンナヤ広場駅から工科大学駅に向かって走行中の車両の中で大きな爆発があり、乗客50人以上が死傷する惨事となりました。
その後の警察の捜査の結果、この事件は中央アジア出身の男性による爆破テロと公式に断定されました。
事件の全容は、「ロシアNOW(日本語版)」でも詳しく報ぜられています。(↓)
爆発の直後、工科大学駅に滑り込んだ車両(ロシアNOWより)
爆発の衝撃で大きくゆがんだ扉が見えています。
「ロシアNOW」の Official site には、ロシア連邦捜査委員会のスヴェトラーナ・ペトレンコ広報部長の談話が紹介されています。
同談話では、「爆発は2つの駅の間で起きたが、運転士は列車を停止させずに次の駅まで走行を続けたため、直ちに避難を行い負傷者を手当てすることができた。運転士の的確な判断が、より多くの犠牲者が出る事態を未然に防いだ可能性がある」との見解が示されています。
工科大学駅舎前の交差点(ロシアNOWより)
工科大学駅舎前(ロシアNOWより)
多数の緊急車両とヘリコプターが救助作業にあたっています。
爆破テロにより、多数の乗客が犠牲となるいたましい惨事となりましたが、現場の写真や映像で見る限り、救助活動は迅速に行われ、ペテルブルクの人々は冷静に行動しているように見受けられました。
また、事件当日は、地下鉄①・②号線の運行が止まったことから、ペテルブルク市行政当局からの指示により、すべての公共交通機関が市民を無償で輸送する対応がとられました。
以前、紹介したように、ロシアでは初等教育の段階から《Безопасность жизнедеятельности》生命安全活動(健康と安全)という科目が必修とされ、日頃から、テロを含む非常事態への備えがしっかり教育されています。(↓)
非常時におけるロシアの人々のこうした冷静な行動は、日頃からの教育と備えがあってのことなのかもしれません。