モスクワ音楽院 留学情報

モスクワ音楽院での学生生活をイメージできるよう、ブログ形式にまとめてみました。私自身は、音楽は素人なので、主にモスクワでの日常生活や音楽院・学生寮の様子、入学手続きや日本との往復などの話題を中心に、父親の目線で紹介していきます。モスクワの今をできるだけ実感していただけるように、写真もたくさん掲載するようにしたいと思います。モスクワ音楽院留学を考えている本人やご両親にとって、少しでも参考になればうれしく思います。

ヘルシンキ経由で行ってみる(2)

- モスクワからの帰路 - 

モスクワからの帰路、ヘルシンキで成田への乗り継ぎ便まで時間があったので、もう一度入国手続きを済ませて、フィンエア・シティバスでヘルシンキ中央駅まで出てみました。

f:id:yurikazunopapa:20160429161945j:plain

中央駅バスターミナルに到着したところ。この便は女性のドライバーでした。料金(6.3EUR)は乗車の際にドライバーに直接支払います。

 

f:id:yurikazunopapa:20160429162137j:plain

発車時刻まで待機中のバス 写真の右手がバス乗り場になっています。後ろの建物は、往路で宿泊したホリデイ・イン・ヘルシンキ・シティ・センター。ホテルのすぐ目の前がバス乗り場と中央駅なので、大変便利なロケーションです。

 

2016年に入って空港と中央駅とを結ぶ鉄道が全線開通し、市内へのアクセスはさらに便利になっているそうです。

ヘルシンキ 鉄道中央駅 -

バスを降りて、中央駅に入ってみました。ここから地下に潜って地下鉄に乗ることもできます。

 

f:id:yurikazunopapa:20160430145539j:plain 

ヘルシンキ 鉄道中央駅 入口

 

f:id:yurikazunopapa:20160429141901j:plain

駅構内の様子

 

f:id:yurikazunopapa:20160429141938j:plain

駅構内の様子 

 

f:id:yurikazunopapa:20160429141121j:plain

ヘルシンキ中央駅ホーム ヘルシンキフィンランド各地とを結ぶ電車が発着しています。

ロシアのサンクト・ペテルブルグへは、高速列車「アレグロ」が一日4往復運行(片道約3時間半)しています。(↓)

 

f:id:yurikazunopapa:20160429141438j:plain

フロントの塗装がオレンジ色の電車が「アレグロ」です。

 

f:id:yurikazunopapa:20160429141525j:plain

車体に"ALLEGRO" の文字が見えます。いつか機会があったら、ヘルシンキからアレグロに乗ってサンクトペテルブルグに行ってみたいと思います!

 

- 地下鉄(メトロ)で周辺地区へ -

中央駅から、地下鉄を利用して、街の周辺地区まで出かけてみることにしました。

チケットは券売機で購入すると、シングルチケット(購入から1時間以内有効で地下鉄とトラムの乗り換え自由)が2.5 EURです。この他、トラム専用のシングルチケットや一日券などがあります。

 

f:id:yurikazunopapa:20160430152010j:plain

エスカレーターで地下深くに降りていきます。

 

f:id:yurikazunopapa:20160430152542j:plain

駅構内はTDSのセンターオブジアースの洞窟を彷彿させるデザインです。

 

f:id:yurikazunopapa:20160430152746j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160430152809j:plain

スタイリッシュな車両は、フィンランドの著名なデザイナー、アンティ・ヌルニスニエミ氏のデザインだそうです。

 

f:id:yurikazunopapa:20160430153050j:plain

さすが、デザインの国フィンランド、遊び心いっぱいのデザインに驚かされます。一見の価値ありです! 

- 市内を走るトラム - 

地下鉄の駅から地上に出ると、トラムに乗り継げるようになっています。

f:id:yurikazunopapa:20160430153522j:plain

ヘルシンキ中央駅の隣の カンピ(Kamppi) 駅 

 

f:id:yurikazunopapa:20160430153949j:plain

ここで、トラム(路面電車)に乗り換えができます。新型車両は乗り場と段差のない低床車両です。

 

f:id:yurikazunopapa:20160430221045j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160430221124j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160430221158j:plain

この低床車両はトラムの各路線で見かけました。(↑)

トラムを乗りこなせるようになると、ヘルシンキの街歩きは、きっと楽しくなりそうです!

 

ヘルシンキ経由で行ってみる(1)

f:id:yurikazunopapa:20160429133430j:plain

ヘルシンキ経由でモスクワへ  -

今回も、モスクワ音楽院留学とは直接関係の無い話題になります。

JALのモスクワ線は、4月から6月までは週4便(月・水・金・日)、7月から10月末までは、今年から一便増便されて週5便(月・水・金・土・日)で運行されます。一方、11月から3月までの冬期間は減便され、週3便での運行に戻ります。このため、冬期間にモスクワに行く場合、曜日の都合が合わない時は、毎日運行のアエロフロートを利用するか、経由便を探さなければなりません。 

 

※2017年3月5日追記:JALのモスクワ線が今年も増便

JALが公表している2017年の運行計画によると、3月26日から6月30日までの期間は、現在よりも2往復増便して、週5便(月・水・金・土・日)の運行に、7月1日から10月28日までの期間は、さらに2往復増便して毎日運行に、10月29日からは、週4便(月・水・金・日)の運行になるそうです。
2016年度(上記)よりも、モスクワとの往復がさらに便利になりますね!
詳しくは、下記をご参照ください。(↓)

 

※2018年4月22日追記:JALのモスクワ線が今年も増便

JALが公表している2017年の運行計画によると、3月25日から6月30日までの期間は、現在よりも2往復増便して、週5便(月・水・金・土・日)の運行に、7月1日から10月27日までの期間は、さらに2往復増便して毎日運行に、10月28日からは、週4便(月・水・金・日)の運行になるそうです。ほぼ昨年と同じ運航便数になりますね!詳しくは、下記をご参照ください。(↓)

 

日本からモスクワまでのルートは、仁川経由、北京経由、フランクフルト経由、ウィーン経由など、いくつもの候補がありますが、2016年4月現在の運行ダイヤでは、大韓航空の仁川経由が便利なようです。

一方、名古屋や大阪から出発するなら、フィンエアのヘルシンキ経由も比較的便利な選択肢となります。

日本からヘルシンキへは、JALが成田から毎日運行(札幌、中部、伊丹、福岡から同日接続可)している他、JALと同じワンワールド・アライアンスのフィンエアが成田の他、名古屋、関西からも直行便を毎日運行、さらに今年5月からは福岡からも週3便体制で運行をはじめるとのことです。フィンエアを利用する場合、名古屋、関西、福岡から直接ヘルシンキに飛んで、ヘルシンキでモスクワ行きへ乗り継げばよいのですが、乗り継ぎ便のダイヤが今一つよくないため、モスクワ到着が現地時間の深夜になってしまうのが難点です。

私も、2014年の暮れに一度だけこのルートを利用したことがあるのですが、そのときは、無理せずヘルシンキに一泊して、翌日モスクワに入ることにしました。

ここでは、そのとき(クリスマスの時期)のヘルシンキの空港や街の雰囲気などを少しだけ紹介したいと思います。

※2018年4月22日追記:

2018年4月現在、ヘルシンキでのロシアへの乗り継ぎダイヤは、以前より便利になっています。成田からのJL413便のヘルシンキ到着が14:50、モスクワ行きのAY713便のヘルシンキ出発が17:40、モスクワ(シェレメチェボ)到着が19:20 なので、乗り継ぎ時間のロスが大幅に改善されました。

 

f:id:yurikazunopapa:20160429134552j:plain

サンタの国フィンランドへの出発日12月25日の成田空港出発ゲートでは、JALのスタッフもサンタの装いです。

JALの運行ダイヤ -

f:id:yurikazunopapa:20160429134611j:plain

ヘルシンキへ向けて出発前のJL413便(B787-8)

 

往路の成田発ヘルシンキ行きJL413便は、11:30に成田を出発し、ヘルシンキ到着が15:00(日本時間の22:00(時差7時間))、およそ10時間半のフライト。

復路のヘルシンキ発成田行きJL414便は、17:15にヘルシンキを出発して、翌朝8:55成田着、およそ8時間40分のフライトです。

ヘルシンキ・バンター国際空港 -

f:id:yurikazunopapa:20160429135829j:plain

 

フィンエアのハブ、ヘルシンキのバンター国際空港は、ヨーロッパの主要空港の中でも日本から最も近い空港です。2つあるターミナルビルはどちらもコンパクトな設計なので、乗り継ぎの際に迷う心配はありません。国際線から国際線への「最短乗り継ぎ時間(MCT)」は35分とのことです。

ここからヨーロッパ各地に数多くの路線が接続しており、日本からヨーロッパへ向かう際には、最も便利な路線の一つと言えそうです。

 

f:id:yurikazunopapa:20160429135918j:plain

セキュリティ・ゲート入口

 

f:id:yurikazunopapa:20160429135948j:plain

フィンエア出発カウンター

 

f:id:yurikazunopapa:20160430133657j:plain

第2ターミナル 出発フロア

- 空港から市内へのアクセス -

空港から市内へは、フィンエア・シティバス(ヘルシンキ中央駅行き)が、通常20分間隔で運行されているのですが、この日はクリスマス特別ダイヤによる間引き運行だったため、中央駅までタクシーで移動することにしました。クリスマス休暇のため渋滞もなく、空港から中央駅まで30分弱で到着、料金は54ユーロ(2014年12月現在)でした。シティバスなら、運賃はヘルシンキ中央駅まで6.3ユーロなので、少々痛い出費となりました。ドライバーは、「フィンランドは、タクシーは高いからね~!」と笑っていました。

ちなみに、フィンエア・シティバスの運行時刻表はこちら(↓)

◇フィンエア・シティバス運行時刻表  

 

- クリスマスの街の様子 -

写真は、クリスマスの時期のヘルシンキの街の様子です。撮影した日は、2014年12月25日(到着日の深夜)、26日(早朝)です。 

 

f:id:yurikazunopapa:20160429202555j:plain

深夜のヘルシンキ中央駅ホーム

 

f:id:yurikazunopapa:20160429202634j:plain

深夜のヘルシンキ中央駅ホーム

 

到着した日の翌朝、厳寒(-20℃)中をホテルから出て、ヘルシンキ中央駅周辺の市街地を歩いてみました。(↓)

 

f:id:yurikazunopapa:20160429140959j:plain

ヘルシンキ 鉄道中央駅 入口

 

フィンランドでは、クリスマスの夜は家族水入らずで過ごす家庭が多いそうです。クリスマスの翌朝の街はとても静かな雰囲気でした。街を彩る美しい装飾は、モスクワの装飾よりもシットリとして落ち着いた印象です。

 

f:id:yurikazunopapa:20160429202356j:plain

ヘルシンキ中央駅前のバスターミナル(アテネウム美術館前)

 

f:id:yurikazunopapa:20160429202517j:plain

ヘルシンキ中央駅前のバスターミナル

  

f:id:yurikazunopapa:20160429202718j:plain

ヘルシンキ中心市

 

f:id:yurikazunopapa:20160429202806j:plain

ヘルシンキ中心市街(ストックマン百貨店前)

 

f:id:yurikazunopapa:20160429202923j:plain

ヘルシンキ中心市街(シティ・センターのアーケード)

 

f:id:yurikazunopapa:20160429203022j:plain

店内の装飾(12月26日早朝)

 

f:id:yurikazunopapa:20160429203105j:plain

店内の装飾(12月26日早朝)

 

f:id:yurikazunopapa:20160429203231j:plain

トラムが走るヘルシンキ中央駅前の通り

 

- ヘルシンキからモスクワへ -

午前10時頃にホテルをチェックアウトして、すぐ目の前にあるバス乗り場からフィンエア・シティバスでバンター国際空港に向かいました。

  

f:id:yurikazunopapa:20160429204918j:plain

バス乗り場で貨物室に乗客のスーツケースを搭載 後ろの建物は、ヘルシンキ中央駅の駅舎

 

f:id:yurikazunopapa:20160429205219j:plain

高速道路を一路バンター国際空港へ

空港までの運賃は6.3 EUR およそ30分で到着です。車内ではFree Wi-Fi が使えるので、旅行者にはとても便利です。

 

f:id:yurikazunopapa:20160430114432j:plain

第2ターミナル 国際線セキュリティ・ゲート入口

 

f:id:yurikazunopapa:20160429140052j:plain

国際線出発エリアのカフェ

 

f:id:yurikazunopapa:20160429140203j:plain

沖止めのアエロフロート機(Airbus A319 モスクワ行き)に搭乗

 

f:id:yurikazunopapa:20160430115811j:plain

ヘルシンキを離陸後、およそ1時間半でモスクワ(シェレメチェボ空港)に到着 ヘルシンキ-モスクワ間は羽田-福岡間とほぼ等距離です。 

 

f:id:yurikazunopapa:20160210195206j:plain

シェレメチェボ空港からは、アエロエクスプレスでモスクワ市内へ移動。メトロ(環状線)に接続するベラルーシ駅までノン・ストップ 約35分で到着です。

 

ヘルシンキ経由で行ってみる(2)へ続く・・・・ 

 

 

 

 

 

モスクワの地下鉄(3)

⑥ 運賃体系

次は、モスクワの地下鉄の運賃体系についてです。

運賃は乗車距離に関係なく、乗車1回分ずつ精算されるシステムです。また、乗り換え可能な駅で何度乗り換えても、最終目的駅の出口を出るまでは乗車1回とカウントされます。

乗車券は1回単位(1回券は50ルーブル、2回券は100ルーブル)でも買えますが、接触式の磁気カード型回数券(使い捨て)を購入すると、11回券で360ルーブルでした。(2015年5月)11回券を購入すれば、1回当たりの料金は約33ルーブル(約60円)ですから、相当割安な料金設定といえるでしょう。

 

f:id:yurikazunopapa:20160326025852j:plain

 駅の ◎のマークがつながっているカ所が乗り換え可能駅です。(↑)

 

f:id:yurikazunopapa:20160326025912j:plain

 1回券、2回券、5回券、11回券など全てこの使い捨て・厚紙製の磁気カードを使用しています。(↑)

 この 磁気カードは地下鉄だけでなく、トラム(路面電車)、トロリーバス、バスとの共通乗車券となっており、モスクワ市内はいずれの交通機関を利用しても、距離に関係なく乗車回数1回単位で精算する、わかりやすくシンプルな料金体系になっています。 

券売機で買えるのは1回券と2回券のみで、5回券以上は窓口で買うことになります。

 

f:id:yurikazunopapa:20160326030114j:plain

券売機のパネルは英語表示も選択できるのですが、とにかくよく故障しています。全ての券売機が故障していて、乗車券は窓口でしか買えないこともしばしばです。

 

f:id:yurikazunopapa:20160326030130j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160326030147j:plain

券売機はロシア語と英語表示を選択できます(前述)が、窓口のお姉さんはロシア語のみです。(笑)(↑)  

 

※ 2016年3月第4週追記:

ところで、今回、あらためてモスクワ市地下鉄公社のオフィシャルサイトを確認したところ、5回券と11回券の表示がなくなっており、回数券は20回券(650ルーブル)、40回券(1300ルーブル)、60回券(1570ルーブル)の3種類だけになっていました。ロシアでは、制度改正が頻繁に行われるので常に注意が必要です。

 

※ 2017年3月5日追記:

2017年2月にモスクワで地下鉄を利用したみたところ、運賃が1回券55ルーブル、2回券110ルーブルに値上げされていました。同時に、回数券も20回券(720ルーブル)、40回券(1440ルーブル)、60回券(1700ルーブル)にそれぞれ値上げされていました。ロシアでは、公共料金が一度に10%以上値上げされることもめずらしくありません。

 

※ 2018年3月10日追記:

上記のリンクからモスクワ市地下鉄公社のオフィシャルサイトを確認すると、1回券、2回券の価格は据え置かれていますが、20回券、40回券、60回券は値上げされている他、20回以上乗車する場合は、チャージ式ICカードトロイカ」を購入することを推奨しています。トロイカカードを利用すると、乗車1回あたり37ルーブルが引き落とされます。(2018年5月)

 

※ 2019年1月20日追記:

トロイカカード利用時の引き落とし金額が、乗車1回当たり38ルーブルに値上げされました。(2019年1月)

 

※ 2020年2月追記:

あらためてモスクワ市地下鉄公社のオフィシャルサイトを確認したところ、運賃が1回券57ルーブル、2回券114ルーブルに値上げされていました(2020年2月1日~とのこと)。同時にトロイカカード利用時の引き落とし金額が、乗車1回当たり40ルーブルに値上げされました。(↓)

 

※ 2021年2月追記:

あらためてモスクワ市地下鉄公社のオフィシャルサイトを確認したところ、運賃が1回券60ルーブル、2回券120ルーブルに値上げされていました(2020年2月1日~とのこと)。同時にトロイカカード利用時の引き落とし金額が、乗車1回当たり42ルーブル (中央ゾーン内の移動)、若しくは50ルーブル(中央と郊外のゾーン間の移動)に値上げされました。(↓)

 

https://mosmetro.ru/payment/tickets/ediniy

 

 ⑦ 駅の構造

続いて、駅の構造について見ていきましょう。

- ホーム中央に広いコンコース -

ほとんどの駅は1面2線の島型となっており、上下線の乗降ホームの間に広いコンコースを備えています。境界部には天井を支える太い柱があるため、ホームとコンコースは空間的に分離されています。(↓)

 

f:id:yurikazunopapa:20160331191706j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160331191728j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160331191803j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160331191827j:plain

(断面図は、仮屋崎圭司先生の報告論文より引用(一部改変)) 

 

列車が到着すると、降車客はホーム上を列車と平行して移動することなく、列車と垂直方向にホームを横断して中央のコンコースへ移動し、コンコースの両端のエスカレーターへ向かって流れていく動線構造になっています。このため、降車した乗客はホームに滞留する乗車客と錯綜することはほとんどなく、円滑な乗降が可能となっています。

 

f:id:yurikazunopapa:20160331210234j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160331200308j:plain

 

また中央コンコースから他の路線へ乗り換える際の通路、階段は一方通行とされ、乗客の錯綜が起こらないように動線が分離されています。

 

f:id:yurikazunopapa:20160331192620j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160331192041j:plain

他の路線への連絡通路は基本的に一方通行とされ、通路を歩く乗客の錯綜が生じないように動線が分離されています。

 

エスカレーターによる乗客の流入量の制御 -

地下深くに位置する駅では、ホームと地上の往来の手段はエスカレーターしかありません。このため、大量の乗客が一度に地下のホームに押し寄せることはなく、改札からホームまではエスカレーターの輸送量に従った定常流になります。ラッシュ時には、改札機やエスカレーターの手前に乗客が滞留することはあっても、ホームやコンコースに滞留することはほとんどありません。これもホームでのスムーズな乗り降りを可能にしている要因と思われます。

 

f:id:yurikazunopapa:20160331192457j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160331192709j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160331193240j:plain

右側は出口です。乗車距離に関わらず定額の運賃システムを採用しているため、この駅には出口側の改札機はありません。一方、左側が入口の改札機です。ここでも、乗客の動線は完全に分離されています。

ラッシュ時には、エスカレーターの手前に乗客が滞留し、改札機を超えて駅舎の外側まで行列ができることもありますが、地下のホーム上に乗客があふれることはありません。

 

⑧ 列車の運行管理システム

- 時間帯別の等間隔運行 -

モスクワの地下鉄では、時間帯別の高頻度等間隔運行が行われているため、利用者向けの時刻表はありませんが、全ての駅の始発と終発の発車時刻は公表されています。

一方、運転士は列車ごとに作成された運行時刻表に基づいて運転するそうです。この運行時刻表には各駅を発車すべき時刻が5秒単位で記載され、加えて列車の運行間隔も記されています。(↓)

 

f:id:yurikazunopapa:20160331192852j:plain

列車ごとの運行時刻表の例(運転間隔は1分35秒と記載されています。)
(仮屋崎圭司先生の報告論文より引用)

 

運転士は、平常時には運行時刻表記載の出発時刻に駅を発車するよう運転し、遅延が発生した際には、時刻よりも先行列車との運転間隔を優先して運転するのだそうです。このような等間隔運行を支援するため、各駅のホームの先端部にはデジタル時計が設置されています。(↓)

 

f:id:yurikazunopapa:20160331194521j:plain

列車の進行方向のホーム先端部にデジタル時計が見えます。

 

f:id:yurikazunopapa:20160331194546j:plain

左側は現在時刻、右側は先行列車出発後の経過時間を秒単位で表示しています。運転士は、デジタル時計で現在時刻や先行列車との運転間隔を、左側の大きな鏡でドアばさみなどがないかを確認します。

 

- 短い駅での停車時間 -

東京の地下鉄ではダイヤ上、1分程度の停車時間が設定されているのに対して、モスクワの地下鉄の停車時間は30秒以下に設定されています。このため、混んでいる車内では、乗客同士が声を掛け合い、次の駅で降りる客と立ち位置を交換する場面がよく見られます。

私自身も、大きなスーツケースを携えて入口付近に立ったとき、奥の方に移動するように促されたことがありました。

 

- 無駄のない合理的なシステム -

ホーム上での乗客の滞留が起こりにくい駅の構造に加えて、このような乗客同士の協力・コミュニケーションも、地下鉄の高頻度等間隔運行を可能にしている要因の一つのようです。

考えてみると、1分半~2分待てば次の電車が来るのなら、時刻表は必要ないでしょうし、列車の到着を告げるアナウンスも、むしろうるさいだけかもしれません。

高速で動くエスカレーター上を歩く人は多くない(モスクワの地下鉄のエスカレーターでは、空いているときは関西地方と同じく右側立ち)ですし、発車の際、ドアが突然、激しい勢いで閉まるため、駆け込み乗車もほとんど見かけません。

一見、乱暴でアバウトなようにみえますが、実はすべての要素が合理的・調和的に構成されていることに気づかされます。

 

このように、モスクワの地下鉄は駅のデザインが豪華で美しいだけでなく、低廉な運賃で機能的にも大変優れた市民の足であると感じました。モスクワに行ったら、一度は地下鉄に乗ってみることをお薦めします!

 

すべての記事へのリンクを表示したポータルサイトはこちら(↓)

www.triprussia.info

 

モスクワの地下鉄(2)

③ 東京の地下鉄との相違点

次に東京の地下鉄とは異なる点を観ていきましょう。

まず、運行時刻表についてですが、各路線の始発と最終電車の発車時刻を除いて利用者向けの運行時刻表は公表されていませんが、主要な路線では、電車は最短で1分30秒間隔で運転されており、駅で長時間待たされることはありません。 

 

※ 2021年2月追記:モスクワの地下鉄の全ての駅の始発、終発時刻は、モスクワ市地下鉄公社のオフィシャルサイトから確認できます。(↓)

 

https://mosmetro.ru/

 

また、各駅の乗降ホーム上には乗車位置の表示はなく、電車の到着や発車を知らせるアナウンスもありません。常に案内アナウンスが流れ、発車を知らせるブザーが鳴り響く日本の駅とは異なり、ホームはとても静かです。(↓)

 

f:id:yurikazunopapa:20160326011858j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160326011926j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160326012003j:plain

ホーム上に乗車位置の表示はありません。

 

乗客はホーム上の好きな場所で待ち、列車が到着すると最寄りのドアから素早く乗り込むイメージです。列車は高頻度で運行されており、乗降ドアも多数(最大で列車1編成に4カ所×8両=32カ所)あるので、実用上、時刻表や乗車位置の表示は必要ないということなのでしょう。

発車の際、ドアが閉まることを知らせるアナウンスが流れるのは車内だけで、ホーム側には流れません。しかも、扉は激しい勢いで閉じるので、挟まれるとかなり痛い思いをすることになると思われます。このためか、駆け込み乗車をする乗客はほとんど見かけません。次の電車を待てばよいということなのでしょう。

 

※ 2017年10月追記:ラッシュ時間帯の駅の混雑

上の3枚の写真ではホーム上に乗客の姿がほとんど見えませんが、これらの写真はいずれもロシアの大型連休中の午前中、電車の発車直後に撮影したためで、平日のラッシュ時には非常に混雑します。(↓)

 

f:id:yurikazunopapa:20171001101018j:plain

ラッシュ時間帯の⑤号線  キエフスカヤ駅  ホーム

 

 ④ 車内のアナウンスと駅の案内表示板

現在、ほとんどの路線がワンマン運転となっています。車内に掲示されている路線図には英語も併記されていますが、車内の案内アナウンス(録音)はロシア語のみです。

アナウンスは路線によって男性の声、女性の声、だみ声のおじさんバージョンなどいろいろです。(笑)

車内のアナウンスは次のような内容でした。(↓)

 

f:id:yurikazunopapa:20160326012227j:plain

ご注意ください! → 「アスタロージュナ!」
扉が閉まります! → 「ドゥヴェーリ ザクリヴァーユッツァ!」
自身の安全のため、このフレーズだけでも覚えておくといいと思います。(笑) 

 

 ※2017年3月5日追記:

先月(2017年2月)、モスクワで地下鉄⑦号線の電車に乗車したところ、発車の際の上記のアナウンスの後に、"The next station is ○○○○○."と英語のアナウンスが追加されていました。地下鉄の車内で英語のアナウンスに遭遇したのは、初めての経験です。 

 

f:id:yurikazunopapa:20160326012302j:plain

 

※ 2020年追記

前回地下鉄に乗車した時に気づいたのですが、席を譲る対象に「妊娠中の女性」が加わっていました。(↓) 車内アナウンスは、

・Уступайте места инвалидам, пожилым людям, пассажирам с детьми и беременным женщинам.
となっていました。

 

f:id:yurikazunopapa:20160326012319j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160326012339j:plain

 

駅のホームやコンコースにある案内表示ボードもほとんどがロシア語表記だけなので、モスクワの地下鉄を利用する時には、ロシア語のアルファベットだけでも読めるようにしておくと何かと便利で安心です。(↓)

 

f:id:yurikazunopapa:20160326012527j:plain

《ВЫХОД В ГОРОД》(ヴィハト・ブ・ゴーラト)は、「街への出口」の意味。これは各駅に必ずある表示。「入口」は《ВХОД》(フホート)、
「乗り換え(連絡)通路」は《ПЕРЕХОД》(ピリホート)です。
《К》(ク)、《В》(ヴ)、 《НА》(ナ)は方向(~への)を表す前置詞です。

左側:パベレーツ広場、ノヴォクズネツカヤ通りへ 他
右側:パベレーツ駅、ドモジェドヴォ行きアエロエクスプレスへ

 

f:id:yurikazunopapa:20160326012551j:plain

左側:赤の広場、革命広場、マネージ広場へ、トベルスカヤ通り、マホーヴァヤ通りへ、ナショナルホテル、中央電信局、グム百貨店へ 他

右側:劇場広場へ、アホートヌィ・リャト通りへ、ソユーズの家、ツム百貨店へ 他

下(緑):②号線チアトラーリナヤ(劇場)駅への連絡通路

 

f:id:yurikazunopapa:20160326013636j:plain

左側:マホーヴァヤ通りへ、⑨号線バラビーツカヤ駅へ
右側:アルバート通り、新アルバート通りへ、①号線レーニン図書館駅、④号線アレクサンドロフスキー庭園駅へ 他

 

f:id:yurikazunopapa:20160326020633j:plain

案内板の表示を日本語に置き換えてみました。(↑)

 

案内板を見るときに、覚えておくと便利なロシア語をいくつか例示すると・・・・、

《СТАНЦИЯ》(スタンツィア)駅

《УЛИЦА》(ウーリッツァ)通り

《ПРОЩАДЬ》(プローシシャチ)広場 

上記3語はいずれも女性名詞です。どの前置詞に付くかによって語尾が変化(格変化)するので注意が必要です。

一方、以下の各単語は男性名詞です。

《ГОРОД》(ゴーラト)街

《ВХОД》(フホート)入口

《ВЫХОД》(ヴィハト)出口

《ПЕРЕХОД》(ピリホート)連絡通路 

《ВАКЗАЛ》(バグザール)ターミナル駅

《ДОМ》(ドム)家・館

 

※ 2019年1月追記 :駅の案内表示が全面リニューアル

地下鉄駅の案内表示が全面的にリニューアルされました。ほとんどの駅の案内表示が新しいデザインに統一され、英語表記が併記されるようになりました。(↓)

f:id:yurikazunopapa:20190120170200j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20190120170228j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20190120170250j:plain

斬新なデザインに一新され、英語表記が併記されるようになった駅の案内表示

 

⑤ ロシア語の駅名について 

同じ駅名なのに、鉄道のターミナル駅ベラルースキー駅、パベレーツキー駅、一方、地下鉄の駅はベラルースカヤ駅、パベレーツカヤ駅などのように、駅名の語尾が違っています。ロシア語では、修飾される名詞の性によって、修飾する形容詞などの語尾が変化します。

地下鉄の「駅」はロシア語で станция (スタンツィア:女性名詞)です。一方、鉄道の「ターミナル駅」はロシア語で вокзал(バグザール:男性名詞)といいます。このとき、女性名詞を修飾するときの形容詞の語尾は「カヤ」、男性名詞を修飾するときの語尾は「キー」となります。

なので・・・、

地下鉄のベラルーシ駅は станция Белорусская (スタンツィア・ベラルースカヤ)、鉄道のターミナル・ベラルーシ駅は Белорусский вокзал (ベラルースキー・バグザール)となります。

モスクワの地下鉄の駅名に、~カヤとか、~アヤなどの語尾が多いのはこのためです。

 

この続き、モスクワの地下鉄(3)はこちら(↓)

 

モスクワの地下鉄(1)

モスクワ音楽院 留学とは直接は関係のない話題ですが・・・・、ここからは、実用面だけでなく観光スポットとしても有名なモスクワの地下鉄について、3回にわたって少し詳しくみていきましょう。

主な情報ソースは、政策研究大学院大学の仮屋崎圭司先生、日比野直彦先生の報告論文「モスクワ地下鉄の高頻度運行管理 」、モスクワ市地下鉄公社の "Annual report 2012"、モスクワ市地下鉄公社のオフィシャル・サイトやRBTH(Russia Beyond the Headlines)の情報誌「ロシアNow」の特集記事などです。写真は、2015年5月と12月に撮影しました。

 

f:id:yurikazunopapa:20160325191746j:plain

 上の写真とイラストはモスクワ市地下鉄公社"Annual repotr 2012" から引用させていただきました。

 

① ネットワークと輸送力

1935年に開業したモスクワの地下鉄のネットワークと輸送力は、東京の地下鉄(東京メトロ都営線)にほぼ匹敵する世界屈指のレベルなのだそうです。総営業距離は300kmを超え、12の路線に約200の駅を擁しており、現在、一日におよそ700万人が利用しています。(↓)

 

f:id:yurikazunopapa:20160325192022j:plain

※ 2017年12月追記:

 その後、外環状線などの新線が開通し、現在は14路線となっています。 

 

 ※ 2021年2月追記:

 駅の数も増えて、230となっています。

f:id:yurikazunopapa:20210206080438p:plain

モスクワ市地下鉄公社のオフィシャル・サイトより(↑)

 

② モスクワの地下鉄の特徴

モスクワの地下鉄の特徴をまとめると次のように表すことができます。(私個人の感想です。)

 

f:id:yurikazunopapa:20160325192132j:plain

 

地上の駅舎や地下のホーム、コンコースは、いずれも大変美しいデザインと装飾が施されており、旅行雑誌などに「地下宮殿」とか「地下の美術館」などと形容されるほどの豪華さを誇っています。以下、代表的な駅舎と地下のコンコース、ホームなどを観ていきましょう!

 

f:id:yurikazunopapa:20160325192544j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160325192605j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160325192626j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160325192706j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160325192741j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160325192756j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160325192843j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160325192904j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160325192922j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160325192941j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160325193000j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160325193019j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160325193037j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160325193056j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160325193115j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160325193133j:plain

左側は現在の②号線マヤコフスカヤ駅、右側は第2次大戦中、防空壕として使われていたときの写真です。右側の写真は、ネットから引用させていただきました。

 

f:id:yurikazunopapa:20160325193218j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160325193246j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160331191145j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160331191244j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160325193318j:plain

この駅は、モスクワ川の上にかかる橋のように敷設されています。

 

かつては地下鉄の写真撮影は不可とされていた時代もあったそうですが、現在、写真撮影は許可されており、ホームやコンコースの写真を撮っても、警備している警察官に制止されることはありません。ただし、動画を撮影する場合は、事前に許可を受ける必要があるそうです。

モスクワの地下鉄は地下深くに敷設されており、特にモスクワ川の下を走る中心部の路線では、駅や線路が地上から50m以上の深度に位置する部分も少なくありません。各駅の深度図も公開されています。(↓)

 

f:id:yurikazunopapa:20160325193638j:plain

 

もっとも深い駅「パルク・パビエドゥィ(戦勝公園)」は、地下84mの深度にあり、長さ126mのエスカレーターで地上と結ばれています。地上から地下のホームまで、高速のエスカレーターを数回乗り継いで約3分かかります。(↓)

f:id:yurikazunopapa:20160325194213j:plain

 

モスクワのメトロでは、地上と地下深くのホームを結ぶ長いエスカレーターは、日本のエスカレーターの約2倍(60m/分:勾配30°)の高速で運転されています。(↓)

 

f:id:yurikazunopapa:20160325194639j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160325194706j:plain

 

 

この続き、モスクワの地下鉄(2)はこちら(↓)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

モスクワの街歩き(7)

① モスクワのタクシー事情

 モスクワの街を巡るとき、メトロに加えてタクシーを使いこなせるようになると、とても便利だと思うのですが、タクシーの利用は旅行者にとってはかなりの難題です。  

 

※ 2017年9月18日追記 : 

モスクワやサンクトペテルブルクのタクシーの事情は、予約アプリの普及により、この2~3年で劇的に変わりました。タクシーや予約システムに関する最新の事情については、この稿の末尾のリンクから、関連記事「最近のタクシー事情(モスクワ / サンクトペテルブルク)」をご一読ください。

 - 空港からモスクワ市内への移動 -

 まず、空港で入国手続きを終えて到着フロアに出ると、「TAXI」と書いたプラカードを持った大勢のドライバーに出迎えられます。彼らのほとんどはいわゆる「白タク」ドライバーなのだそうです。 

ネット上のブログ旅行記などを検索すると、「タクシーにぼったくられた!」とか、「空港から中心部のホテルまで90EURも請求された。」といった内容の記事をよく見かけます。空港からホテルまでタクシーを使うときには、多少高くなったとしても旅行会社(できればロシア専門の旅行会社)などを通じて事前に予約しておく方が無難なようです。

ちなみに、2015年5月にドモジェドボ空港からクレムリンの前のホテルまで、東京のロシア専門の旅行会社「ユーラスツアーズ」から予約したときには、片道料金が2名の利用・手数料込で¥5700(この時のレートで約2500ルーブル)でした。 

 

- モスクワ市内の移動 -

次は市内の移動についてですが、モスクワ中心部の主要なホテルには、周辺にタクシーが待機している場所があるので、タクシーを見つけることは難しくないのですが、車に乗り込む前にドライバーに行き先(建物や通りの名称など)をロシア語で告げて、料金の交渉をしなければなりません。

また、いわゆる流しのタクシーはあまり多くありません。大きな通りに立って行灯のある車を見つけて手を上げると、運が良ければ停まってくれますが、タクシー乗り場でなければ容易につかまらないことが多いでしょう。逆に、想定外の行灯を掲げていない普通の車(白タク)が停まることもあります。「ちょっとお小遣い稼ぎにお客を運ぼう」という場合もあるようです。

これらの場合も、ドライバーと行き先や料金の交渉が成立してから乗車することになります。

とりわけ料金については、およその相場観がなければ、交渉はスムーズには進まないでしょうから、一見さんの旅行者にとって、タクシー利用は相当高いハードルと言えそうです。ぼったくりを避けるためにも、相場観は重要と言えそうです!

 

- タクシー料金の目安 -

 それでは、料金の目安を確かめておきましょう。旅行記ブログなどには、よく経験談が紹介されていますが、ケースによる差が大きいので、あくまでも参考程度と考えておく方がよさそうです。

ここではロシアのタクシー予約サイト ”TAXI@SMS” をみてみましょう。(↓)

◆  http://www.taxi-sms.ru/ (ロシア語)

 

このサイトでは、街中の料金は次のような時間制になっています。

<普通車>

○ 日中(9:00~20:59):乗車時の基本料金が49ルーブル、以後1分ごとに13ルーブル

● 夜間(21:00~8:59):乗車時の基本料金が99ルーブル、以後1分ごとに13ルーブル

ビジネスクラス

○ 日中(9:00~20:59):最初の25分間が550ルーブル、以後1分ごとに17ルーブル

● 夜間(21:00~8:59):最初の25分間が600ルーブル、以後1分ごとに20ルーブル

 

一方、市内と空港の間の移動については、 

<普通車>

○ 空港までの送りが1300ルーブル、空港での出迎えが1500ルーブル

ビジネスクラス

○ 空港までの送りが2000ルーブル、空港での出迎えが2200ルーブル

 

※ 日本の大手旅行会社の中には、市内-空港の片道12000円(6500ルーブル)以上の料金を設定している場合があるので要注意です!

 

次に、ビジネスクラス専門のタクシー会社” ФАЭТОН ТАКСИ” (ファエトン・タクシー)の料金もみておきましょう。(↓)

http://www.faetontaxi.ru/main/

こちらは、時間帯や曜日にかかわらず24時間365日同一の運賃体系が適用されます。

○ 基本料金が500ルーブル(小環状道路内で30分または17kmまで)、

 以後、時速30km以上での走行時は、1kmごとに35ルーブル

    時速30km未満での走行時は、1分ごとに17ルーブル 

 となっています。時間内でも、小環状道路の外に出ると課金がスタートする仕組みのようです。

少々高めの料金設定ですが、車両は新型のセダンで、走行中の車内ではfree Wi-Fi が使用できます。(↓)

 

f:id:yurikazunopapa:20160305030105j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160305030130j:plain

ファエトン社のタクシー(ビジネスクラス

 

モスクワ音楽院から学生寮までの料金

f:id:yurikazunopapa:20160305030908j:plain

音楽院から寮までは、およそ4km(徒歩なら約40分)の道のりです。

 

メーターを使わない(交渉(制)による)場合、音楽院の学生は通常300~400ルーブルでタクシーを利用しているそうです。私も音楽院と寮の間を往復利用したことがありますが、往復とも500ルーブルでした。

どうやら外国人相手の場合、モスクワ市内の小環状道路内の移動は、500ルーブルが料金の目安になっているようです。(2015年秋・冬)

ビジネスクラスのファエトンタクシーにも1度乗車してみました。

ドライバーに、「モスクワ音楽院から寮(マラヤ・グルジンスカヤ22/24)まで500ルーブルでどうか?」と交渉したところ、「無理だ!」と断られました。上述のとおり、ファエトン・タクシーはメーター制です。試しに乗ってみたところ、メーターでちょうど700ルーブルでした。料金は少し高くなりますが、ドライバーの対応は紳士的で、乗り心地も良好でした。ただし、ファエトン社の料金システムでは、渋滞にあったときは高額になりそうです。

 

- 音楽院の学生専門の白タクのおじさん -

留学中の長女によると、寮と音楽院の間を行き来する学生を相手に、格安料金(250ルーブル)で営業している「白タクのおじさん」がいるとのこと。ちょうどモスクワ滞在中、このおじさんの白タクに一度遭遇したので利用してみました。ダークブラウンの古い小型のセダンでしたが、おじさんの運転も丁寧で何の問題もありませんでした。真冬の厳寒の朝、寮から音楽院まで250ルーブルなら、寮生活の学生達にとって優しい料金設定といえそうです。寮生にはとても有名な白タクのおじさんでした。(笑)

  

※ 2016年9月12日追記 : 

モスクワの長女によると、スマホを使って、今いる場所、若しくは指定した場所からタクシーを予約できるとても便利なアプリが登場したとのこと! 

スマホの画面から行きたい場所を入力すると料金が表示され、「予約」をクリックすると間もなくタクシーが迎えに来てくれるシステム(迎えの時間指定も可能)なのだそうです。

このアプリを使えば、小環状道路内の移動なら、300ルーブル程度でよいようです。

ちなみに、長女がこのアプリで寮からドモジェドボ空港までタクシーを予約(2016年7月)したところ、料金はなんと1000ルーブルだったそうです。激安ですが、運転手さんには申し訳ないですね!

 

※ 2017年9月18日追記 : 

モスクワやサンクトペテルブルクなど、都市部を中心に急速に普及しているタクシー予約アプリの詳細についてはこちらから(↓)

 

 

 

チャイコフスキー国際コンクール

ー 4年に1度の芸術文化の国家的イベント - 

f:id:yurikazunopapa:20160229205142j:plain

出場者の国の国旗が翻る校舎前庭

 

モスクワ音楽院の大ホールは、4年に1度開催される若手音楽家の登竜門、チャイコフスキー国際コンクールのメイン会場となります。折しも昨年(2015年)、第15回目となる同コンクールがモスクワとサンクト・ペテルブルグで開催されました。期間中、モスクワ音楽院の前庭では、チャイコフスキーの銅像の両袖に出場者の国の国旗が翻り、華やかな雰囲気に包まれました。

 

f:id:yurikazunopapa:20160229205553j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160229205639j:plain

コンクール期間中の音楽院大ホール前

 

- コンクールの概要について -

チャイコフスキー国際コンクールのオフィシャルサイトには、次のように記されています。(オフィシャルサイト:英語版(↓))

http://tchaikovskycompetition.com/en/

 

50年以上も前に創設されたチャイコフスキー国際コンクールは、ロシアの音楽文化の貴重な財産であるとともに、世界の音楽界の一大イベントの一つでもあります。

チャイコフスキー国際コンクールは4年に1度開催されます。初回(1958年開催)は、ピアノとバイオリンの2部門の構成でした。第2回(1962年開催)以降、チェロ部門が加わり、第3回(1966年開催)からは声楽部門が導入されました。

1990年の第9回においては、本審査に先立ち、5番目の部門としてバイオリンメーカーのコンテストが催されました。

今年のコンクールはロシアの偉大な作曲家の生誕175周年に捧げられます。

チャイコフスキー国際コンクール第15回記念大会は、2015年6月15日から7月3日まで、モスクワとサンクト・ペテルブルグで開催されます。

 

- ピアノ部門の審査について -

ピアノ部門は、書類とビデオ(DVD)による予備審査を通過した候補者によるオーディション(モスクワで開催)において選ばれた30名が本審査第1ラウンドに出場します。

第1ラウンドのソロ演奏の審査を経て、12名が第2ラウンドに進みます。第2ラウンドではソロ演奏に加え、室内楽オーケストラとの演奏により審査が行われ、選ばれた6名がファイナル・ラウンドに進出します。

 

f:id:yurikazunopapa:20160229210916j:plain

本審査 第1ラウンド(オフィシャルサイト・medici.TV より)

 

f:id:yurikazunopapa:20160229211434j:plain

本審査 第2ラウンドより

 

f:id:yurikazunopapa:20160229220921j:plain

満員の客席(1800人収容) 

 

モスクワ音楽院の学生は、本審査第1ラウンドまではチケットがなくても学生証で入場できるそうですが、第2ラウンド以降はチケット完売の日が続き、よほど運がよくなければ学生証での入場は難しくなるそうです。

 

f:id:yurikazunopapa:20160229211729j:plain

審査結果発表 ファイナリスト6名(オフィシャルサイト より)

 

f:id:yurikazunopapa:20160229211837j:plain

ファイナリストたち(オフィシャルサイト より)

 

 

f:id:yurikazunopapa:20160301065750j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160303190021j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160301063950j:plain

ファイナル・ラウンド(オフィシャルサイト・medici.TV より) 

 

第1ラウンド~ファイナル・ラウンドまでの全ての演奏は、インターネットTV(medici.TV)を通じてリアルタイムで配信され、世界中で1000万人を超えるクラシック音楽ファンが視聴したのだそうです。現在もオフィシャルサイト(medici.TV)から全ての演奏を高画質・高音質で試聴できます。

 

ピアノ部門 1st.round ~ Final の模様(↓)

http://tch15.medici.tv/en/performances/piano

 

- 審査結果の発表と表彰式 -

f:id:yurikazunopapa:20160229211959j:plain

審査結果の発表を待つファイナリストたち(オフィシャルサイト より)

 

厳正な審査の結果、ピアノ部門では、ロシアのドミトリー・マスレエフさんが第1位の栄冠に輝きました。

以下、ファイナル・ラウンドの最終結果です。

1位:ドミトリー・マスレエフさん(ロシア)

2位:ルカス・ゲニュシャスさん(ロシア/リトアニア

    ジョージ・リーさん(アメリカ)

3位:ダニイル・ハリトノフさん(ロシア)

    セルゲイ・レチキンさん(ロシア)

4位:リュカ・デバルグさん(フランス)

 

f:id:yurikazunopapa:20160229224323j:plain

第15回 チャイコフスキー国際コンクール表彰式(オフィシャルサイトより) 

 

- ガラコンサート -

 f:id:yurikazunopapa:20160229213549j:plain

開場前から大勢の来場者で賑わうメイン会場 モスクワ音楽院大ホール前(ESC フェイスブック・ページ より)

 

コンクール最終日に開催された各部門入賞者によるガラ・コンサートにはプーチン大統領が出席され、入賞者たちに最後まで惜しみない拍手を送られていたそうです。

 

f:id:yurikazunopapa:20160229213817j:plain

 

f:id:yurikazunopapa:20160229213852j:plain

開演に先立ち、ステージで挨拶するプーチン大統領(medici.TV より)